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  袋物とは

現代で「袋物」といえば巾着型のものを連想しがちですが、
かつての日本では「物を入れる(包む)」ものを総称して「袋物」と呼んでいました。

着物を日常着としていた時代、袋物は手に持つものではなく「身につける」ものでした。
これは着物という衣服が小さな袋物類を収納しやすい作りで、
バックのような役割をしていたからだと考えられます。

身に付ける袋物として知られているのは、煙草入れや印籠などの「提げ物」、
筥迫や紙入れなどの「懐中物」です。
(ここでの提げ物は、手に提げる物ではなく帯に提げる物)

これらは着物文化の中から生み出された独特の意匠で、
それぞれに技巧を凝らした装飾や作りが特徴です。
実用でありながらアクセサリーを兼ね備えた「装身具」として
当時一斉を風靡しました。

しかしながら西洋文化が急速に浸透した明治以降は、
袋物の需要は身に付ける物から手に下げる物へと変化し、
人々の生活が洋装へと完全に切り替わると平行して、
日本ならではの袋物たちは姿を消して行きました。

そのような状況にあって、現代でも唯一その跡を残しているのが、
和装の花嫁の装身具として欠かせない「筥迫(はこせこ)」です。


  貼り込みとは

現代に受け継がれる「筥迫(はこせこ)」は、
糊を使って組み立てる「貼り込み」という技法の代表格です。
しかしながら、現代ではこの正確な技法はほとんど伝承されておりません。

貼り込みは「カルトナージュ」と同様に、厚紙などの芯材を用い、
接着剤を使って布を貼り合わせていきますが、縫ったものと区別がつかないほど
精密に仕上げていく、繊細な技が詰め込まれています。

筥迫工房ではそんな貼り込みの技法に着目し、
昔の書物や古い袋物を参考に独自に研究を重ねてまいりました。
当時の意匠においては忠実に、技法や考え方においては参考に、
現代で入手できる材料を用い、現代に合った技法、
現代人の感覚に合った型に再現することを目的に活動しております。

簡単で効率的が良しとされる消費時代の物作りとは対極にある世界ですが、
じっくりと丁寧に物を作りあげる「手の技」の素晴らしさ、
かつての日本人が精魂込めて作り上げていた袋物細工の奥深い世界を、
一人でも多くの方に伝えていきたいと願っております。


  端切れを使う、装飾裂を生かす

現代で「袋物」という言葉は、茶道で使われる仕覆(しふく)や、
手作りのバックなどにも広く使われていますが、
筥迫工房では日本固有の趣味で作られた袋物を「袋物細工」として分類しています。

江戸時代、袋物職人は高い専門性を持つ男社会に限られ、
手先の器用な女性たちは、それぞれの家庭の中でお細工物に親しむなど、
両者は完全に分離された状況にいました。

明治時代に入り、文明開化とともに女子教育が広まります。
その教科の中には技芸としての「袋物」も見られ、
男社会で作られてきた袋物は、教養としての女子教育の中に
多少なりとも専門性をもたらしました。

資源の少ない日本では、着古した着物を解いて、小さな端切れになるまで
大切に布を使い倒しました。

着られなくなった着物を美しい細工物に変化させる喜びは、
日本文化に染み込んで現在の私たちに至ります。

古い綺麗な着物地は、どんなに小さくても捨てることができないものです。
袋物細工には、通常では捨ててしまいがちな小さな端切れを使う型もたくさんあります。
大小の端切れに合わせて型を決める楽しさは、
現代に生きる私たちに新たな喜びを与えてくれることでしょう。

筥迫工房の貼り込み講座では、大切にためておいた和裂の使い方、
効果的な柄の取り方なども指導しております。

また、現在ではほとんど見ることのなくなった「日本刺繍の筥迫」を蘇らせる活動も
積極的に行っております。
講習会では「型」を作ることを基本に教えておりますが、教室では刺繍などの装飾裂を
生かす作り方なども個別にご指導致します。